ジュラ・サヴォワ地方
歴史
古く、古代ローマ時代にはすでにブドウ栽培が行われていたとされています。中世には修道院や貴族の保護のもとでワイン造りが発展し、特にジュラでは地域独自の醸造文化が形成されました。長期熟成や産膜酵母を用いる技法はこの時代に基礎が築かれ、後のヴァン・ジョーヌ誕生へとつながります。サヴォワではアルプス交易の要衝として修道院や都市にワインが供給され、山岳地帯ならではの冷涼な環境に適応した栽培が進みました。19世紀にはフィロキセラ禍で壊滅的被害を受けましたが、在来品種の復活とともに再建され、近年では個性派産地として再評価が高まっています。
気候、地理
フランス東部、スイス国境からアルプス山脈の麓に広がる冷涼な産地です。ジュラはジュラ山脈の西斜面に位置し、大陸性気候の影響を強く受け、冬は寒く夏は比較的温暖ですが、年間を通じて降水量が多いのが特徴です。標高は250〜450mほどで、石灰質や泥灰土(マール)を中心とした複雑な土壌構成が、サヴァニャンやシャルドネに独特の酸とミネラル感を与えます。一方サヴォワはアルプス山脈の急峻な斜面に畑が点在し、標高は最大500mを超えることもあります。山岳気候と湖の影響により昼夜の寒暖差が大きく、爽やかな酸を備えた軽快なワインが生まれます。こうした地理と気候条件が、両地域の個性的で伝統的なスタイルを支えています。
現在
生産規模は小さいものの、個性と品質で国際的評価を高めている産地です。ジュラではサヴァニャンを用いたヴァン・ジョーヌやウイヤージュを行わない独自の醸造法が注目される一方、近年はクリーンで果実味を重視したスタイルも増え、多様性が広がっています。サヴォワでは山岳地帯ならではの冷涼な環境を生かし、アルテスやジャケールによる軽快で透明感のあるワインが再評価されています。両地域とも小規模ドメーヌが多く、有機・ビオディナミ農法や低介入醸造を採用する生産者が増加しています。気候変動への対応や収量の不安定さという課題を抱えつつも、地域固有の品種と伝統を守りながら、持続可能で高付加価値なワイン造りへと進化を続けています。