プロヴァンス地方・コルシカ島
プロヴァンス地方
歴史
フランスで最も古い部類に属し、紀元前6世紀に地中海沿岸へ渡来した古代ギリシャ人がブドウ栽培と醸造技術を伝えたことに始まります。その後、ローマ人の支配下で道路や港湾が整備され、ワインは地中海交易を通じて広く流通しました。中世には修道院や貴族の保護により生産が継続され、淡い色調のワインは「クラレ」として親しまれました。近代以降、フィロキセラ禍により一時衰退しますが、再建とともに品質改善が進みます。20世紀後半にはロゼワインの生産に特化した産地として国際的評価を確立し、現在のプロヴァンスの基盤が築かれました。
気候、地理
フランス南東部、地中海沿岸から内陸部の丘陵地に広がる産地で、典型的な地中海性気候に恵まれています。年間を通じて日照量が非常に多く、夏は乾燥して温暖、冬は穏やかでブドウ栽培に適した環境です。ミストラルと呼ばれる強い風が吹き、湿気を抑えて病害を防ぐ役割を果たします。地理的には石灰岩、粘土、片岩など多様な土壌が混在し、標高や海からの距離によって微気候が生まれます。沿岸部では爽やかな酸を保った軽快なスタイル、内陸部では果実味と骨格のあるワインが生まれます。こうした気候と地理条件が、プロヴァンス特有の繊細でフレッシュなロゼワインを中心とした個性を形づくっています。
現在
ロゼワインを中心に世界的な知名度を確立しつつ、次の段階へ進もうとする産地です。生産量の大半をロゼが占め、淡く繊細で洗練されたスタイルは国際市場でも高い評価を受けています。一方で近年は市場環境の変化や気候変動の影響を受け、量より質を重視する動きが一層強まっています。有機栽培や環境認証の導入が進み、持続可能な農業への転換は産地全体の重要なテーマとなっています。また、ロゼ一辺倒から脱却し、白や赤ワインの品質向上に取り組む生産者も増えています。観光と結びついたワインツーリズムも活発で、プロヴァンスは伝統を基盤にしながら、現代的価値観に対応する産地へと進化を続けています。
コルシカ島
歴史
非常に古く、紀元前6世紀頃に地中海交易を行っていたギリシャ人がブドウ栽培を伝えたことに始まります。その後ローマ時代には島全体でワイン生産が広がり、地中海航路を通じて各地へ供給されました。中世にはジェノヴァ共和国の支配下で栽培が維持され、修道院や農村を中心に伝統的なワイン造りが受け継がれます。18世紀にフランス領となった後も、島固有品種を中心とした小規模生産が続きましたが、19世紀末のフィロキセラ禍で大きな打撃を受けました。20世紀後半以降は品質重視への転換が進み、ニエルッチョやシャカレッロなど在来品種を生かした個性豊かなワインが再評価されています。
気候、地理
地中海に浮かぶ山岳島で、気候と地理の多様性がワインの個性を形づくっています。全体としては温暖で乾燥した地中海性気候に属し、日照量が非常に多く、海からの風が畑を冷やしブドウの健全な成熟を促します。一方で島の中央部には標高2,000m級の山々が連なり、沿岸部から内陸部にかけて急激な標高差が生まれ、地域ごとに大きく異なる微気候が存在します。土壌も花崗岩、片岩、石灰質、砂質など多彩で、水はけの良さとミネラル感に富んだブドウが育ちます。海の影響による爽やかさと山岳由来の冷涼さが共存し、凝縮感とフレッシュさを併せ持つワインが生まれるのがコルシカの特徴です。
現在
小規模ながら高い個性と品質で評価を高める産地として注目されています。生産の中心は家族経営のドメーヌで、ニエルッチョ、シャカレッロ、ヴェルメンティーノなど島固有の品種を生かしたワイン造りが主流です。地中海性気候と山岳地形による多様なテロワールを重視し、畑ごとの表現を追求する動きが強まっています。近年は有機栽培やビオディナミ農法への転換も進み、自然環境と共生する持続可能な生産が重要なテーマとなっています。生産量は限られていますが、独自性の高さから国内外のソムリエや愛好家の関心を集め、観光と結びついたワイン文化の発信も活発化しています。