MARANAKA WINE STORE

MARUNAKA WINE STOREは、ワインを売るための店ではない。ワインをどう楽しむか、その距離と温度を整えるための場所である。母体は、1905年創業の天ぷら屋「丸中」。百年以上、東京で、同じ仕事を続けてきた。油の音と向き合い、季節の移ろいを一皿に映し続けてきた時間が、いまもその根にある。日本食は世界遺産となり、世界中で食べられるようになった。だが、日本食とワインの関係は、まだ成熟の途上にある。合うか合わないかを語る以前に、共にある風景が十分に育っていない。ヨーロッパにおいて、ワインは特別な存在ではない。朝から夜まで、嬉しい日も、そうでない日も、生活の中に自然に置かれている。ワインは嗜好品である前に、日常の一部である。日本においても、そうした距離感があっていい。ワインは学ぶ対象ではなく、構えるものでもない。部活動や趣味のように、好きな時間を過ごす空間の一部として、静かにそこにあるものでよい。MARUNAKA WINE STOREは、そのための場をつくる。食と時間と人のあいだに、無理なくワインが入り込む余白を整える。特別な一杯ではなく、日常に置かれる一杯のために。百年続いた天ぷら屋の時間の延長線上に、もうひとつの風景を重ねる。それが、MARUNAKA WINE STOREである。